“感情”とうまく付き合おう 実践編
前回は予告のように”感情”とうまく付き合おう、ということをご提案しました。
では、うまく付き合うとはどういうことでしょうか。
まずは自分の感情を“感じ””理解する”ところから始まります。ここではJames Grossという方の感情調整(emotion regulation)という理論を元に整理していきます。
感情の3つの軸
感情を考える時、3つの軸で捉えます。
1)気づき(awareness)・・・自分の感情に気づく。
気持ち、体感覚(汗をかく、鼓動が早くなる・・・)、強さと持続時間など
※不足(→神経性過食症など)しても過剰(→パニック障害)でもよくない
2)目標(goals)・・・自分はどんな状態になりたいのか。
落ち着いて話したい、笑顔になりたい、鼓動を収めたいなど
3)戦略(strategies)・・・目標を達成するためにどうするのか。
場を離れる、話題を変える、気をそらすなど
つまり、“自分がいまどういう状態か”と“どういう状態を目指すのか”がわからないと、戦略を立てられないのです。
これらは、自分がどう感じたかの前に、それを引き起こす”外部からの刺激”があります。
誰かの発言や態度、何らかの事象・・・これらが、自分の想定から外れていると、驚いたり、感動したり、ショックを受けたりします。そしてそれを是正しようと相手に訴えかけたり、席を外したりするわけです。Grossは、例えば上司が無自覚・無神経(awareness不足)だったり、部下が考えすぎ(awareness過剰)のように、相手と受け手にズレが生じると感情的なトラブルに繋がると述べています。従って“個人の受け止め方の調整”ではなく、”相互のやり取りの調整”を行うことで職場における感情的な衝突を減らすことができるのです。
ここでは特に調整が必要な”不快な感情”について考えていきましょう。
介入の5ステップ
3つの軸の最後、“戦略”を実行するタイミングを5つに分けて考えてみましょう。
1)状況選択(Situation selection)
その状況に「入る/避ける」を選ぶことで感情を調整する。
例)嫌な人に合わない、争っている議論に参加しない、観察する
2)状況修正(Situation modification)
状況の一部を変えることで感情が生じにくいように調整する。
例)政治の話になったら話題を変える、別の作業を提案する
3)注意の向け方(Attentional deployment)
意識を他に持っていく/集中させる。
例)「なんとなく雰囲気が違いますね(意識をそらす/向ける)」「今一度目的に立ち戻りましょう」(集中させる)
4)認知変容(Cognitive change / reappraisal)
状況の意味づけを変えることで感情を変える。
例)失敗したら「これは次のための良い経験だ」
5)反応調整(Response modulation / suppression)
感情の表出を抑える、行動で抑えるなど。
例)おいしいものを食べて気分を変える、気分が落ちている時に虹を見て落ち着かせる
出来るだけ早い段階での介入が望ましく、反応調整は最後の手段です。
この理論のポイントは”個人で背負わない”こと。相互の関係性において発生することだから、その場にいる者で調整をするという考え方です。
微妙な空気に一石を投じるのは勇気がいりますが、自分に我慢をさせ続けると、自分のウェルビーイングやエネルギーがそがれていきます。他にもその場を調整したいと思っている人もいるかもしれません。
作業効率がAIや様々なツールでどんどんアップデートされているからこそ、私たちのコミュニケーションもより快適なものにアップデートし、気持ちよく仕事に集中できる環境を実現していけるといいですね。
