イマドキは”ニューロダイバーシティ”
あっという間に11月に入りましたね。
私はイギリスでの生活に四苦八苦しつつ、毎日質の高い学びに頭から湯気を出して暮らしております。
さてさて、今日は私が学んだばかりの”ニューロダイバーシティ”について一緒に学んでいきましょう!
さて、前回触れた高市早苗さんが総理大臣になられましたね。
”女性初”ということで世間の注目度も高く、あらたに政治に興味を持つ方も増えたかもしれません。この“女性初”がつくのは、日本がまだ”多様性”があまり進んでいない、という点があります。
日本は”男女(ジェンダー)格差”が非常に高く、148か国中118位。特に政治においてはギャップがひどく、G7最下位、世界ランキングは125位です。
女性議員は5人に1人しかいないことを見れば、“男女が平等”ではないことは一目瞭然です・・・(涙)
一方諸外国の多くは、ジェンダーによる差を縮め、Equalityを高めているわけです。
そんな国々が次に目指しているのが”ニューロダイバーシティ”です。
実はこれ、日本でも一応取り組みに対しての発信はしていて、経済産業省のホームページに『ニューロダイバーシティの推進について』という記事が載っています(2024年)。
ニューロダイバーシティとは
ここでは少し、この”ニューロダイバーシティ”について説明していきますね。
一般的に、”ニューロ(neuro)”というと”神経”(neuron=神経細胞に由来)をイメージしますが、ここでの”ニューロ“は“物事や情報の受け取り方”という広い意味で用います。
例えば”大きな音が苦手”“感情の受け取り方が独特””特定のシチュエーションに過敏”といった人がいますね。学術的に説明すると、IQを図った際に、大抵の人=ニューロマジョリティ(学術的にはneurotypical)が全カテゴリーで平均的な結果を出すのに対し、ADHDや自閉症の人は特定のカテゴリーについて高い・低いが出るので凸凹(spiky)な結果になります。
この凸凹が、物事や情報の受け取り方、片付けが苦手といった特徴に表れます。こうした人々が”ニューロマイノリティ”ということになります。
(ちなみに私自身も若干このバランスが悪いので、これが本人にとってどういうことなのか多少は理解できます)

『Neurodiversity at work: a biopsychosocial model and the impact on working adults』 Nancy Doyle, Oxford University Press. 2020
性別や性自認、宗教、民族を多様に受け止めましょう、というのが一般的なダイバーシティとするならば、自閉症やADHDのようなニューロマイノリティも広く受け止めましょう、というのがニューロダイバーシティということになります。ここでちょっと難しいのが「民族や宗教は”病気”じゃないけど、自閉症やADHDは“病気”で、投薬などの治療もあるよね?」という話。
では、性自認はどうでしょう?
病気だと思っていた過去や、未だ思っている国や宗派はありませんか?
左利きはどうでしょう?
これも100年ほど前までは所謂”マイノリティ”で“不吉”扱いでした。
ニューロダイバーシティの価値
ではなぜニューロダイバーシティが今進められているのか。
目が悪くても眼鏡をすれば問題なく暮らせるように、
耳が聞こえなくても写真やデザインの仕事ならできるように、
ニューロマイノリティの人たちも、各自に必要な環境さえ整えれば、程度の差はあれ通常通り仕事を全うできるということがわかってきたのです。
なんなら数理処理など特定の分野においてはニューロマジョリティの人よりも高い結果を出します。
であれば、働く機会が与えられない、不平等であるといったことは是正していく必要がありますよね。
もう一つは”労働人口問題の解決”という側面もあります。
日本は既に生産年齢人口が危機的状況にあり、IT系だけで2030年、つまりあと4年で労働人口が最大79万人、最低でも16万人足りなくなると言われています。
2022年時点でIT系人材数は132万人ですから、“仕事は3人分あるのに人は2人しかいない”というイメージです。
一方、“ニューロマイノリティ”を含む”障害(身体・知的・精神)”に該当する人口は約1160万人=人口のおよそ10%を占めます。簡単には言えませんが、これだけの人材が自分の得意な仕事を見つけ、正当な報酬を受け取り、かつやりがいを感じて社会に参画していけるとしたら・・・
その社会に対するインパクトは経済効果だけでなく、日本に活気をもたらすことも期待できます。
これからの課題は”知ること”
とはいえ、これを進めるには人種差別や男女差別と同様“相手を理解する”から始めなければなりません。
・何が苦手で何が得意なのか
・どういった業務を望んでいるのか、また適しているのか
・関係を構築する上でどのような注意点が必要なのか
さて、ニューロダイバーシティの話を一旦脇において、採用や配属の課題だと思ってもう一度読んでみてください。
通常の採用や配属のポイントと、何が違いますか?
実はそう大きくは変わらないんですよね。
ただ、”深度”や”質”がこれまで私たちが馴染んできたものとは異なるわけです。
そんなわけで、採用や配属におけるニューロダイバーシティの推進はまだまだ研究途上です。
採用プロセスや社内業務・配置などももちろんですが、何よりもまず社会、つまりわたしたち一人ひとりがこの”ニューロダイバーシティ”について、正しい理解をしていくことが必要です。
まだ道のりは始まったばかり。
あ、皆さんは今日、この言葉を知ってくださいましたね。一歩前進です!
一緒に前に進んで、社会を明るくしていきましょう。
【参考】
経済産業省『ニューロダイバーシティの推進について』2024年
経済産業省『IT人材需給に関する調査(概要)』2019年
野村総合研究所『デジタル社会における発達障害人材の更なる活躍機会とその経済的インパクト』2021年
内閣府『障碍者の状況』2023年
